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ロックン・ロール (Rock & Roll)

【ロック】50年代に一世を風靡した、エレキ・ギターを中心にしたアンサンブルで演奏される、8ビートのノリがいい音楽。最小3つのコードで成立するシンプルかつキャッチーな楽曲に、ティーンエイジャーの生活感的な歌詞を乗せて歌われる。50年代当時は、大人に対する反抗の音楽として認識されていた。広義のロック・ミュージックの最も直接的なルーツになった音楽で、21世紀になった現在でもなお、このロックン・ロールのスタイルとイメージを忠実に体現しているバンドが、典型的な「ロック・バンド」として認識される風潮がある。

もともとROCKとROLLとは、どちらも「楽しい時を過ごす」「パーティをやる」あるいは「セックスをする」という意味の黒人スラングで、1930年代から存在するものだった。この2つを「&」でつないだのは、オハイオ州クリーヴランドのラジオDJ、アラン・フリードだった。彼が白人の若者向け番組で黒人音楽をかける際、「R&B」という言葉を使うことが一部白人の反発を招くと考え、作り出した言葉が「ロックン・ロール」であった。

こうした黒人音楽は白人の若者たちに熱狂的に受け入れられ、白人シンガーたちがこぞってこうしたロックン・ロール(つまりR&B)を取り上げるようになった。一般にロックン・ロールが「黒人音楽(R&B)と白人音楽(カントリー)の融合によって生まれた」と表現されるゆえんである。こうした中の1曲、ビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」が映画「暴力教室」の主題歌として8週連続全米ナンバーワンの大ヒットを記録することによって、ロックン・ロールが「ティーンエイジャーの反抗の音楽」として全米の認知を獲得した。このイメージをさらに広めたのがエルヴィス・プレスリーである。

実際、50年代当時「ロックン・ロール」としてヒットしていた楽曲にロカビリーやR&Bとの厳密な区別はなく、現在「ロックン・ロール・クラシック」として知られている曲は、黒人のR&Bから、ロカビリーまで含むものである(実際、エルヴィス・プレスリーはロカビリー歌手であった)。

ちなみに、音楽業界において「オリジナル・アーティストによるオリジナル・レコーディング」が重視されるようになっていったのは、ロックン・ロールの登場以降である。それは、レコードというメディアがちょうどこの時期普及を始めたことが前提ではあるが、それまでのヒット・ソングが楽譜として歌詞とメロディのみが流通していたのに対し、ロックン・ロールの歌詞が基本的にナンセンスであり、メロディも稚拙でありながら、サウンド全体の持つ「ノリ」によってリスナーを惹きつけたことがひとつの重要な要素になっている。

ロックン・ロールと呼ばれる音楽は58年ごろから代表的なアーティストのスキャンダルや事故死、エルヴィス・プレスリーの徴兵などが重なり、一時期失速する。しかしその数年後、ビートルズの登場によって「ロックン・ロールの遺伝子を受け継いだ音楽=ロック」は、その後数十年にわたってポップ・ミュージックの中心へと君臨することになるのである。


 

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