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AZRAEL
DREAM ON
82
ドリーム・オン (2010)

本作収録の#10「My Blackest Heart」がシングルCD-Rとしてリリースされたのが2005年9月。その「先行シングル」からまさか4年以上待たされることになろうとは…の約6年半ぶりとなる4作目のアルバム。これだけのインターバルが空いたのは前作発表後、白尾茂(G)と笹川賢太郎(B)が脱退し、Tacky(G)とAoi(B)が加入するというメンバー・チェンジがあった影響だろうか。とはいえ本作は、オルゴールによるイントロから始まるタイトル曲からいかにも、の典型的メロディック・スピード・メタルで、ブランクを感じさせない、ファンにとっては安心のサウンドを聴くことができる。ただ、アルバムを通して聴いてみると、溌剌とした明るめの楽曲が多かった前作に比べるとマイナー調のメロディが増え、ややしっとりした印象も受ける。心なしか歌詞もこれまでよりダークでパーソナルな思いを感じさせるものが増えているような。聴き終えてみると、前作から劇的に改善していると思える要素に乏しく、楽曲も高いレベルとはいえやや平準化している感もあって、前作ほどのインパクトはない、というのが正直な感想。ひょっとするとこのバンドは前作のような明朗かつキャッチーな作風の方が得意なのかもしれない。しかし、相変わらず「この人たちは私と同じツボを持っている」ことを確信させる、メロディック・パワー・メタルの模範解答的作品だ。ちなみに本作のマスタリングはANGRAなどを手掛けたデニス・ワード(PINK CREAM 69)が担当している。

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SUNRISE IN THE DREAMLAND
86
サンライズ・イン・ザ・ドリームランド (2003)

またもや3年のインターバルをおいてリリースされた3作目。前作・前々作と安っぽいCGだったジャケットがマトモなアートワークになっていることに象徴されるように、音質もグッと向上し、もはやあらゆる面で欧州のメロディック・パワー・メタル勢と比較しても遜色ないクオリティを(少なくともアルバムでは)獲得した。でも使用スタジオは横浜と大塚のペンタってのが親しみやすくていいね(笑)。塚ペン(大塚ペンタ)なんて僕も学生時代バンド練習で使いましたよ。懐かしいなあ。そんなことはさておき、今回も1曲目から一点の曇りもない麗しきメロディック・スピード・メタルをプレイしており、この手の音楽のファンが狂喜乱舞する仕上がり。石原晶のハイトーンは今回も冴え渡り、天まで届くかのようなそのVoにはある種のカタルシスさえ感じてしまう。疾走曲からキャッチーな曲まで全曲平均点を軽くクリアしており、この手の音の本場であるヨーロッパに輸出しても恥ずかしくない高品質のアルバムである。客観的な意味でのクオリティは大幅に上がっているにもかかわらず点数が微増にとどまっているのは、洗練された結果、僕好みの哀愁度というかクサさは減退してしまったように感じられたからです。とはいえ、ここ日本に生まれてメロスピを愛する者なら、このバンドは聴くべきよ、絶対。ところで各曲に付けられた恥ずかしい邦題にはいったい何の意味があるんですか?

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KING OF THE STEELY NATION
85
キング・オブ・ザ・スティーリィ・ネイション (2000)

横浜のメロディック・スピード・メタル・バンドによる3年ぶりのセカンド。メンバー皆さんこのバンドで食えるわけもなく、セカンドが出せるかどうか非常に危ぶんでいたが、無事リリース。しかも今回はインディーズながらメジャー流通を獲得。リリース当初はバンダイの音楽部門(旧アルファレコード)からリリースされていたが、このアルバムが発売されてすぐにバンダイが音楽ビジネスから撤退、徳間コミュニケーションズから再リリースされた。音楽性は基本的には前作同様のメロディック・スピード・メタルながら、若干様式美色が薄れ、明るくキャッチーなテイストが強まっているのは前作で素敵な様式チューンの多くに関わっていた安福さん(B)が脱退してしまったせいでしょうか。とはいえ相変わらずキャッチーなメロディ・センスは海外の一線級のバンドに引けをとらないような優れたものを呈示しており、この手の音を愛するものであればついつい引き込まれてしまうアルバムに仕上がっている。#2、#6、#8といったスピード・チューンはもちろん最高だし、本作における新境地といえるハード・ポップ調のキャッチーな#5「Hold On To The Young Love」や、LAメタル風のリフを持つ#9「Break The Ice」なんかも非常によく出来ており、楽しめる。音質も前作よりは向上しているし(まだまだショボいが…)、石原"Akiller"晶の超絶ハイトーンも素晴らしいのだが、ギターはちょっと下手になったんじゃ…? 音質と演奏のクオリティがもう少し良ければ今回もプラス2〜3点かな。

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RUN FOR THE NIGHT
83
ラン・フォー・ザ・ナイト (1997)

神奈川大学のサークル・バンドから発展したバンドによる自主制作のファースト・アルバム。なぜか発売当時大宮アルシェの今は亡きDiscmapにて試聴機展開でプッシュされていたのが、このアルバムとの出会いでした。イントロに続く#2「Soldiers Of The Pain」のツイン・リードのハモり、疾走するドラム、そして何よりアンドレ・マトスばりの日本人離れしたハイトーンに「ついに日本にもこんなバンドが!」と感動し、すぐレジに持って行きましたね。正直音質はいかにも自主制作だし、演奏のレベルもプロフェッショナルとはお世辞にも言えないが、とにかく曲、メロディがいい。基本はHELLOWEEN〜ANGRAの流れにあるメロディック・スピード・メタルで、Keyをフィーチュアした曲では北欧メタル的な透明感も感じさせ、非常に日本人好みなサウンドになっている。日本人が作るんだから日本人好みなのは当然でしょ、とおっしゃるかもしれませんが、正直この手の音は通受けしないというか、ミュージシャンになるくらいの人間であればむしろ避けて通る音楽であり、CDを出すレベルのバンドはこれまでほとんど存在しなかったというのが現実。そしてやはりハイトーンVoを要求されるので、フツーの日本人には厳しい音楽なのだが、その点このバンドのVoは素晴らしい。タイトル曲や#7「Going For Glory」のハイトーンなんて鳥肌立っちゃいましたよ。英語の発音はちょっと変ですが(苦笑)。とにかくどの曲にもキャッチーな歌メロと、印象的なツイン・リードのメロディがこれでもかとフィーチュアされており、全曲楽しめる。これで音質と演奏が良ければプラス3〜5点は固かった。

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