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ELEGY
FORBIDDEN FRUIT
80
フォービドン・フルート (2000)

なんと中心人物であったヘンク・ヴァン・ダー・ラーズ(G)が脱退。後任としてイアン・パリー(Vo)のソロ・プロジェクトに関わっていたフランス人ギタリストのパトリック・ロンダットが加入し、英蘭仏3カ国の人材が集う多国籍バンドとなった新生ELEGYによる、フル・アルバムとしては6作目にあたるアルバム。ただし、楽曲の大半はヘンク在籍時に書かれた、ヘンクの手によるものである。前作の不評を受けてか、本作では従来のプログレッシヴなパワー・メタル・サウンドに回帰しており、パトリック・ロンダットも持ち前のテクニカルでクラシカルなギター・プレイを随所で披露している(特に#8のギター・ソロは素晴らしい)。イアン・パリーの圧巻の歌唱力を中心としたそのサウンドはスケール感、クオリティともに申し分ないものの、依然として「日本人好みのキャッチーさ」には欠け、概ね前作以前の音楽性に回帰した本作をもっても、日本での注目度を取り戻すには至らなかった。実は疾走曲の多さでは歴代のカタログNo.1なのだが…。いいアルバムなんだけど地味なんだよなぁ…。せっかくこのシーンではトップクラスといえる強力なシンガーを擁しているのだから、もっとキャッチーな歌メロを望む。

ELEGY
MANIFESTATION OF FEAR
78
マニフェステイション・オブ・フィア (1998)

評判の悪いアルバムである。僕がバイトしていた店でもまったく売れなかった。本作によって前作で上昇気流に乗りかけた日本での注目度に一気にブレーキをかけてしまった感がある。というのも、本作については「ダークでヘヴィなアルバム」でというのが一様な評価で、それはこの時期ビクターからリリースされていたような類のアーティスト(笑)にとって致命的な評判であった。僕自身もその評判を聞いてパスしていたが、中古で500円で売っていたため、「どれだけつまらないのか聴いてみるか」と、ゲテモノにチャレンジする気分で恐る恐る聴いてみた。…あれ? 悪くないやん、コレ。たしかにELEGYらしくはない。彼らの最大の特徴であったプログレッシヴでテクニカルな要素が大幅に減少し、キーボードの音もほとんど聴こえない。しかし、ややモダンでヘヴィになった(あくまで今までの彼らと比べてだが)ギターの音によるシンプルなリフをメインに組み立てられた楽曲は、イアン・パリーによるロニー・ジェイムズ・ディオばりの歌唱が歌い上げる緊張感に満ちたメロディによって充分聴き応えのあるサウンドに仕上がっている。このくらいなら充分「正統派ヘヴィ・メタル」の枠の内にあると思うし、従来のELEGYファンの「許容範囲内」じゃないかなあ。たしかにキラー・チューンと呼べるような曲はないけどね…。

ELEGY
STATE OF MIND
84
ステイト・オブ・マインド (1997)

英国人シンガー、イアン・パリーを迎えた新生ELEGYの、企画ミニ・アルバム「PRIMAL INSTINCT」を挟んでの初フル・アルバム。前任のエドワード・ホーヴィンガも優れたシンガーではあったが、ややありがちなハイ・トーン・ヴォイスの持ち主であった彼の歌唱はバンドの印象を没個性なものにしてしまう傾向があった。しかし、恐るべき説得力に満ちたイアン・パリーの歌唱はバンド・サウンドの説得力の向上に絶大な貢献をしており、今回のメンバー・チェンジはバンドにとっては大正解だったと言える。サウンド・プロダクションが向上したこともあり、そのメロディアスでドラマティック、かつプログレッシヴなサウンドは既にAクラスの輝きを放っている。キャッチーなアップ・テンポ・ナンバーの#5「Shadow Dancer」は名曲と呼ぶに値するカッコよさ。とはいえ、それ以外の曲に関してはこれまでも何度か指摘してきたように、メロディにキャッチーさが不足しており、アレンジがプログレッシヴで疾走感に欠けることもあって、楽曲の完成度自体は高いものの、印象は総じて地味。ま、イアン・パリーの素晴らしい歌唱に敬意を表してプラス2点、で、この点数かな。

ELEGY
LOST
81
ロスト (1995)

おおっ、成長しましたね! 今回の1曲目はいきなり古めかしいオルガン・サウンドが鳴り響く純然たるプログレ・メタルで、遂にそちら方面へと方向性を定めたか、と思いきや、ポップと言っても過言ではないほどキャッチーな曲や、バンド史上最高速を誇るスピード・メタル・ナンバー、そしてバラードまで収録した本作は、基本的に前作までの方向性を受け継ぎながら、やや伸び悩んだ感のある前作と異なり、確かな成長を感じさせる一作となっている。とにかく、プログレッシヴな曲、キャッチーな曲、パワフルな曲、と個々の楽曲ごとのカラーが明確になってきたのが良い。旋律も全体的にキャッチーさを増し、聴き終えた後耳に残っているメロディも多い。これでもうひと皮剥けたら一線級の仲間入りかな。とりあえず、さしあたっては全てのメタル・ファンにアピールする「キメ曲」を創造することが成功への早道ではないだろうか。

ELEGY
SUPREMACY
78
スープレマシー (1994)

前作がマニアの評判を呼んだELEGYのセカンド・アルバム。1曲目から典型的といってもいいメロディック・スピード・メタル・チューン。すわ、遂にHELLOWEEN型バンドに転身か? と思ったのも束の間、2曲目は長い、遅い、を兼ね備えたプログレッシヴ・チューン。僕はここで萎えました(笑)。とはいえ、その曲を含め、全体的には前作同様、まずまずクオリティの高い、初期QUEENSRYCHEタイプのメロディック・メタル・サウンド。この手の音楽が好きなリスナーに薦められるだけのクオリティは充分にある。しかしこのバンド、悪く言えば骨太さに欠ける音像と、上品なキーボード・アレンジのため、サウンドがまるで北欧メタルかのような透明感を感じさせる…のはいいのだが、あまりにも透明すぎて、聴き終えた後、何の印象も残らない(苦笑)。無味無臭メタルとでも呼びましょうか。まぁ、要は今回もキャッチーさに欠けているということだね。ちょっと伸び悩みかな? ポテンシャル的には高いものを持っているバンドだと思うんだけど。

ELEGY
LABYRINTH OF DREAMS
77
迷宮の夢 (1993)

オランダ出身のヘヴィ・メタル・バンドのデビュー・アルバム。日本盤が発表された際「非常にメロディアス」「HELLOWEEN的」といった形容がなされていたため、当時(現在も)その手の音楽に目が無かった僕は期待に胸を躍らせて聴き、そして失望した。その原因はまず、疾走感がなかったこと。疾走チューンと呼べるのは、ラストの「The Guiding Light」ただ1曲。HELLOWEEN「そのもの」のメロディック・スピード・メタルを期待していた僕にはまずそれが肩透かしだった。そしてメロディであるが、たしかに美旋律と呼ぶべきメロディによって楽曲が構築されているものの、あまり印象に残らない。要は、キャッチーさに欠けるのだ。楽曲も全体的にプログレッシヴなアレンジが施されており、ストレートなわかりやすさとは距離がある。結果論を言ってしまえば、先入観が悪かったのだ。彼らのことを最初からHELLOWEEN型のバンドではなく、初期QUEENSRYCHE型のバンドである、と正しく認識していれば、素直にクオリティの高いバンドとしてとらえられたのに…。実際、トニー・ハーネルを思わせるハイトーン・シンガーも力量充分だし、演奏陣も非常にテクニカルで、2曲収録されているインストゥルメンタル・ナンバーではその実力を存分に見せつけている。当時のヨーロピアン・インディーとしては音質もまずまず。「ヨーロッパのQUEENSRYCHE」、というと明らかに褒めすぎだが、「ヨーロッパのFATES WARNING」くらいなら名乗ってもイイんじゃない?(笑)

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