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HAMMERFALL
INFECTED
77
インフェクテッド (2011)

SIX:AMのメンバーであり、MOTLEY CRUE、MEATLOAF、PAPA LOACHなどの作品をを手掛けたジェイムズ・マイケルを共同プロデューサーに迎え、ヴォーカル・レコーディングやミックスをアメリカで行なった8作目のアルバム。日本でのリリース元がこれまで欧州ローカルのバンドにはほとんど見向きもしなかったワーナーになっているのは個人的にはやや驚き。それらの事実に加え、ジャケットのアートワークから恒例のキャラクターがいなくなったことも含め、「変化」を感じる作品である。これらの変化から感じられるのはいよいよ本格的にアメリカのマーケットで勝負しようという意気込みだが、中世ファンタジー風から現代B級ゾンビものへのイメージチェンジ(アートワークおよびPV)って、果たしてアメリカ人に対してアピールになるのか…? しかもサウンドこそややギターの音作りなどがモダンな感触になっているものの、基本的な音楽性は殆ど変わっておらず、必ずしもアメリカ人好みとは思えない欧州正統派メタルの範疇にとどまっているのも良いのか悪いのか。オープニングの#1が後半の疾走パートに入るまで退屈なのと、シングル曲の#3がイマイチなことが本作の印象を冴えないものにしているのも残念。音作りのせいか、全体的にやや湿り気が不足している感があるものの、#6など煽情力のあるメロスピ曲もあるし、ポンタス・ノルグレンのギターは全編で頑張っている。ただ、「北欧の人気メタル・バンドがアメリカ征服を本気で目指す」にはこんな中途半端な作品ではなく「FINAL COUNTDOWN」級の変化とクオリティが必要なのでは。

HAMMERFALL
NO SACRIFICE, NO VICTORY
81

ノー・サクリファイス、ノー・ヴィクトリー (2009)


デビュー10周年記念のベスト・アルバム、およびこれまで彼らが発表してきたカヴァー曲を集めた企画盤「MASTERPIECES」を挟んで発表された通算7枚目のスタジオ・フル・アルバム。前作「THRESHOLD」発表時からBのマグナス・ローゼンがデビュー前のメンバーだったフレドリック・ラーソンに、Gのステファン・エルムグレンがTHE POODLESのポンタス・ノルグレンにチェンジしている。基本的な音楽性に変化はなく、シンガロング向きのキャッチーな正統派ヘヴィ・メタルが全編に渡って展開されているが、今回久々に明快な疾走チューン#4をプレイしていたり、さらに久々にイエスパー・ストロムブラード(IN FLAMES)が作曲に関わった楽曲#10が収録されていたりと、メンバー・チェンジの影響かどうかは不明ながら、やや「原点回帰」的な要素のある作風となっている。ちょっとアメリカンなキャッチーさを備えた#2などは新味だし、ポンタスのハイ・テクニックのお披露目的な意味もありそうな勇壮なインスト・ナンバー#7にはゲストとしてイェンス・ヨハンソン(Key:STRATOVARIUS)が参加してソロを弾いているなど、聴き所は多いが、一方彼らの強みだったシングル曲(#1)のインパクトが今回ちと弱いかも。恒例の(?)カヴァー#11は洋楽史上に残る一発屋として名高いTHE KNACKの「My Sharona」で、割とヒネリのない仕上がり。ちなみにアルバム・タイトルは映画「トランスフォーマー」の劇中のセリフから採ったそうな。

HAMMERFALL
THRESHOLD
82
スレッショルド (2006)

06年のトリノ・オリンピックで金メダルを獲得したスウェーデンのカーリング・チームとコラボしたPVを制作したり、彼らの地元であるイエテボリで行なわれた第19回欧州陸上選手権の開会式(10万人の観衆が集まり、全世界54カ国で中継された)で演奏したりと、ちょっと普通のメタル・バンドでは考えられないようなポピュラーなポジションを確立してしまった彼らの6作目のフル・アルバム。これまでにもましてマニアックな要素が減少し、キャッチーなリフと覚え易いコーラスに満ちたコンパクトな楽曲が揃ったアルバムである。とはいえ、決してアメリカンなポップさやモダンなヘヴィさには流れず、あくまでも欧州風味の正統派メタルという基本線は頑なに守られている。そういう意味では、こういう新しさのないピュアなヘヴィ・メタルにも、(少なくとも欧州では)大衆に受け入れられるポピュラリティがあるということを証明する貴重な存在だといえるだろう。飛び抜けた楽曲はなく、過去の楽曲の焼き直しなども目に付くが、こういうボチボチな出来のアルバムでも売れる(スウェーデンで1位、ドイツで15位)、というのが人気バンドというものでしょう。どうでもいいけど、イングヴェイの「Trilogy Suite Op.5」クリソツのイントロを持つ#10についてアンダース・ヨハンソン(Dr:元YNGWIE MALMSTEEN'S RIGING FORCE他)は何も言わなかったのでしょうか。

HAMMERFALL
CHAPTER V: UNBENT,UNBOWED,UNBROKEN
82
チャプター・ファイヴ:アンベント、アンバウド、アンブロウクン (2005)

Voであるヨアキム・カンスのソロ活動などを挟んだこともあり、約2年半のインターバルを挟んで発表された通算5枚目のアルバム。本作に先立ち、初のライヴ盤となる「ONE CRIMSON NIGHT」をリリースしている。欧州での高い人気に比べ、日本ではリリース元がビクターからマーキーに変更となるなど、今ひとつパッとしない彼らだが、正直私個人としても、前2作に関しては楽曲のクオリティにムラがあり、「なんでそんなに人気があるんだろう?」という思いがあった。しかし、本作に関しては非常に安定したソングライティングを披露しており、印象的なリード・ギターのフレーズや、憶えやすく、ライヴで叫びやすそうなコーラスを巧みにちりばめて非常にキャッチーなヘヴィ・メタル・サウンドを展開している。いわゆる典型的な疾走チューンはないものの、それがまた「大衆向けメタル」としての立ち位置の表明だろう。あえて難癖をつけるなら、外部ライターを導入したのかと勘繰ってしまうほどの小慣れた雰囲気が鼻について、スリリングさに欠けるような。ちなみにアルバム本編ラストを飾る10分超の大作#10「Knights Of The 21st Century」にVENOMのクロノス(Vo)が参加し、ちょっとした小芝居を披露しています。

HAMMERFALL
CRIMSON THUNDER
81
クリムゾン・サンダー (2002)

イエスパーが関わる楽曲が一曲も存在せず、完全にメンバーのみの手によって制作された4作目。ジャケットもアンドレアス・マーシャルの手によるものではなくなり(なんかチープになった印象…)、なんとなくバンドの転機を感じさせる。とはいえ、基本的な方向性は前作と変わりない、キャッチーな正統派ヘヴィ・メタル。前作では失敗していた(と、メンバーが感じていたかどうかはわからないが…)サウンド面もタイトに洗練され、改善を見せている。前作同様、シンガロングタイプのミドル・テンポで始まるオープニング#1から、「キャッチーなヘヴィ・メタル」のひとつのモデルになり得る、よくできたシングル曲の#2「Hearts On Fire」、ヘヴィに疾走する#3「On The Edge Of Honor」、そしてACCEPTを想起させるドラマティックなタイトル曲#4、という序盤の流れは悪くない。しかし、中盤以降テンションが落ち、ラストを飾る劇的な曲調が印象的な#11で盛り返すものの、アルバムを通しての印象はやや散漫。特にどこが悪いという訳でもないが、どこが良い、という問いに答えにくいのがこのバンドの問題か。日本盤ボーナスとしてLOUDNESSの「Crazy Nights」のカヴァーを収録。選曲に彼らならではのサービス精神を感じますが、やはりギター・ソロの完コピは無理だったようです。


HAMMERFALL
RENEGADE
79
レネゲイド (2000)

タイトル曲のシングル・ヒット(メタル・バンドが!)も手伝って、4万枚を売り上げてゴールド・ディスクを獲得、遂に母国スウェーデンのチャートでNo.1に輝いたサード・アルバム。前2作と異なり、速い曲ではなくミドル・テンポの楽曲をオープニングに配したアルバム構成や、かつてDOKKENやSKID ROWを手掛けたマイケル・ワグナーをプロデュースに迎え、アメリカでレコーディングしているという事実からも、彼らが単なるパワー・メタル・マニア向けのバンドにとどまらない、よりユニバーサルな存在を目指そうとする姿勢が感じられる。それはいいのだが、何曲か収録されている疾走曲があまりにも手抜きというか、「速きゃいいんだろ」的なお粗末さを感じさせる出来なのは残念。マイケル・ワグナーのプロデュースも、ヘヴィ・メタルというよりはハード・ロック的な音作りで、彼らの音楽から重厚さを奪い去る結果になっており、サウンド・メイクは明らかに失敗している。本作から加入したアンダース・ヨハンソン(Dr:元SILVER MOUNTAIN〜YNGWIE MALMSTEEN'S RISING FORCE)のドラミングも、彼らの音楽にマッチしているとは言い難い。ただ、随所に心引かれるフレーズが聴かれ、なんとなく駄作と切り捨てるのは憚られるような不思議な魅力のあるアルバムだったりするのだが、やはりこのバンドを初めて聴く人には薦められないし、点数もこんな感じ。

HAMMERFALL
LEGACY OF KINGS
88
レガシィ・オブ・キングス (1998)

前作の成功で得た自信が音に表れ、もはや貫禄さえ感じさせるセカンド・アルバム。タイトルを訳すと「王たちの遺産」だが、その「王たち」とはJUDAS PRIESTやACCEPT、MANOWARやHELLOWEENなどのバンドのことを意味しているのか、と勘繰りたくなるような、過去の正統派メタル・バンドからの影響が強く現れた作品で、もはやメンバーたちが過去にデス・メタルをプレイしていたことを窺わせるようなマイナー臭は皆無。特に今回、HELLOWEEN、BLIND GUARDIANなどに代表される、いわゆる「ジャーマン・メタル」タイプの楽曲が多く、前作の持っていた憂いに満ちた雰囲気を愛していた向きには、本作の明快さは不評だったようだ。しかし、ドイツのチャートでは最高15位を記録と、前作以上の成功を収めている。客観的に見ても、楽曲の完成度、サウンド・プロダクション、そして演奏力、全ての面で向上が見られ、イエスパー・ストロムブラード(IN FLAMES)の関与する楽曲が大きく減少しても彼らが優れた音楽を創造することが出来るということを証明する仕上がりとなっている。とにかくメロディック・パワー・メタルが好きならオープニングの「Heeding The Call」の持つ昂揚感に一発ノックアウトだろうし、MANOWARやACCEPTのその手の曲を想起させる、ミッド・テンポのヘヴィな「Let The Hammer Fall」もイカす。ただ、PRETTY MAIDSの代表曲のカヴァー「Back To Back」は明らかにオリジナルよりパワー不足。

HAMMERFALL
GLORY TO THE BRAVE
85
グローリー・トゥ・ザ・ブレイブ (1997)

発表されるや、欧州のメタルファンの間でセンセーションを巻き起こし、新世代ピュア・メタル勃興の礎を築いたエポック・メイキングな作品。ドイツのヒット・チャートで最高35位と、新人の、それもスウェーデン出身のオールド・ファッションなHMバンドとしては驚異的な商業的成功を収めている。しかし、クオリティがその歴史的意義と商業的な成功に見合うだけのレヴェルに達しているかというと、個人的にはやや疑問。ドン・ドッケンを思わせる細いヴォーカル、プロフェッショナルとは言い難い演奏力、そして教科書通りという印象の無個性なリフやバッキングのセンス。多くの曲の作曲クレジットに、このバンドがまだプロジェクトであった初期に在籍していたIN FLAMESのイエスパー・ストロムブラードの名前が見えるが、IN FLAMESで見せる天才的なメロディ・センスはさほど感じられない。しかし、この北欧のバンドらしい暗く、哀愁に満ちた歌メロのセンスにはやはり光るものがあり、中でもオープニングを飾る名曲「Dragon Lies Bleeding」は出色の出来。#4、#9といったバラードも、細めのヴォーカルが独特の哀感を醸し出していて好印象。全体的にキャッチーで、バンドのヴィジュアル等のイメージも含めて「わかりやすい」のが成功の要因か。しかし、欧州のメタル雑誌で、このバンドがRHAPSODYを抑えて97年度のブライテスト・ホープに選ばれたというのはちょっと納得いかないなぁ。

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