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HIBRIA
SILENT REVENGE
83
サイレント・リヴェンジ (2013)

ツイン・ギターの片割れであるディエゴ・カスペルが脱退、後任にSCELERATAのヘナート・オソーリオを迎え、その新加入のヘナートのプロデュースによって制作された4作目のフル・アルバム。本作の歌詞はアルゼンチンのスリラー映画『The Secret In Their Eyes』にインスピレーションを受けたものになっているとのことだが、音楽的に特にコンセプチュアルな要素は感じられない、ピュアなパワー・メタル作品に仕上がっている。LOUD PARK 12で来日した際、PANTERAのカヴァーなどを披露していたために、やや不安を覚えつつ聴いてみたが、案の定というかこれまで以上にヘヴィなリフがサウンドの軸になっており、90年代半ばの日本であれば「モダン・ヘヴィネスに走った」などと言われて批判されたかもしれない。とはいえ、デビュー当時からのファンが「彼ららしさ」と認識しているであろう「アツさ」や「勢い」は前作以上に強く息づいており、個人的には単純にメタルとしてカッコいいと思えた。元々作曲というか、メロディやアレンジの引き出しは少ないバンドだっただけに、こういうよりリフ・オリエンテッドで硬質なサウンドはバンドの本質にマッチしているのかもしれない。日本以外ではほとんど成功していないのが不思議なほどの王道感と質の高さを備えたピュア・メタル。#8カッコいいね。ユーリの歌声にやや劣化が感じられるのが若干の不安要素。

HIBRIA
BLIND RIDE
81
ブラインド・ライド (2011)

LOUD PARK 09での来日を果たし、レコード会社も移籍して発表されたサード・アルバム。バンドの中心的存在であり、スポークスマンでもあったマルコ・パキーニ(B)が脱退し、後任にベニュール・リマを迎えている。このメンバー・チェンジの影響か、正統的でメロディックなパワー・メタルという基本線は変わっていないのだが、曲調やアレンジの幅が広がって、これまでかなり限定的だったHIBRIAのイメージから逸脱した部分が多く見られる(聴かれる)ようになった。クサさとアツさが混然一体となった焔の嵐のようなサウンドこそが彼らの魅力、と感じているような人にとっては本作のサウンドはちょっと熱気が足りないというか、速さもクサさも減退していて地味に響くかもしれない。個人的にも前作までの路線の方が好みだし、キメ曲の不在も痛い。ただ、これまでより「引き」を心得て整合感を増し、アメリカでミックス&マスタリングを行なった成果か、音質が向上したこともあってB級感が払拭され、「本格感」のようなものが出てきたのはプラス材料。クサさに依存しない楽曲のフック作りには成功しつつあるので、次作の出来によっては「過渡期の作品」などと言われるようになるかもしれない。なんとなくジョニー・リンドクヴィスト加入後のNOCTURNAL RITESに通じるものを感じたが、ということは日本のメロスピ・ファンの受けはイマイチかな?

HIBRIA
THE SKULL COLLECTORS
85
ザ・スカル・コレクターズ (2008)

前作が漢メタラーたちの間で絶大な支持を得たHIBRIAの、4年ぶりとなる待望のセカンド・アルバム。前作がマニアやプレスの間でかなりの評判を得たのにこれほどリリース間隔が開いたのは、やはり「Remedy Records」なる聴いたこともないマイナー・レーベルに所属していることが原因なんだろうなぁ…。とはいえ、伊達に4年も制作期間をとっていたわけではなく、特にソングライティングの面で明らかな成長を感じさせる充実作となっている。基本的な方向性は変わっておらず、本作でもひたすら熱く男らしいメロディックなパワー・メタル・サウンドを体現している。前作に比べギター・リフが主張するようになっており、前作に比べヴォーカル・ラインのクサさに依存している印象が薄れているのはメタル・バンドとして好印象だが、依然ユーリ・サンソン(Vo)によるアツい歌唱こそがこのバンド最大の特徴と言っていいだろう。楽曲のクオリティは平均的に上がっているものの、相変わらず力押し一辺倒で単調な印象は残り、もうちょっと柔軟なソングライティングのできるメンバーを迎えた方がいいかも。とはいえ、前作を歓迎した向きであれば本作も納得がいくであろうハイ・クオリティなピュア・メタルの傑作である。しかし、この叫びっぱなしのハイ・テンションなVoは、本当にフル・セットのショウで歌いきれるのかね? ましてや数ヶ月におよぶワールド・ツアーでこの歌い方が続けられるとは日本人にはとても信じられないのだが…。

HIBRIA
DEFYING THE RULES
84
ディファインング・ザ・ルールズ (2004)

ブラジル出身の5人組ニューカマー。ハッキリしたメロディを持ちつつもパワフルなパワー・メタル・サウンドによって、一部では「LOST HORIZONの再来」と評判になったバンドである。しかし、男臭いアツさは共通するものの、音楽的にはLOST HORIZONに比べてかなりシンプルかつ直情的で、メロディに関しても、いわゆるメロディック・スピード・メタル・バンドのような構築された旋律美というよりは、あくまでも「アツさ」の表現にこだわった方向性といえるだろう。このバンドの強みは何と言ってもシンガーで、マイク・ヴェセーラを思わせるユーリ・サンソン(Vo)の強烈なシャウトは、ただでさえアツいこのサウンドのテンションをさらに上げている。楽曲も特筆するほどの個性があるわけではないが、随所で印象的なクサメロが冴え渡り、メタル魂を鼓舞される。高い演奏力に裏打ちされた音数の多さがさらに暑苦しさを増している観も(苦笑)。現状は若さ爆発というか、押しの一手、という感じだし、音質が良くないこともあってB級な印象は拭えないが、もっと引き所を心得てメリハリがつき、彼らならでは、という個性が出てくればかなり強力な作品を生み出してくれそうなポテンシャルは感じられる。安っぽいコミックみたいなアートワークはご愛敬。

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