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KILLSWITCH ENGAGE
KILLSWITCH ENGAGE
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キルスウィッチ・エンゲイジ (2009)

全米初登場7位を記録し、もはやメタルコアなどという狭い枠にとどまらない、新世代アメリカン・メタルの代表格であることを証明した5枚目のアルバム。かつて00年にハードコア系のインディーズ・レーベルだった「Ferret Music」からリリースされ、05年にリミックス&リマスターされ、ボーナス音源を追加して再発されたデビュー作と同じセルフ・タイトルが冠されているのがいささか紛らわしいが、初めてアダム(G)によるセルフ・プロデュースを離れ、外部プロデューサーを迎えるなど、彼らなりに心機一転を意識しているのかもしれない。ただ、音楽性については前々作〜前作に順当に連なるもので、これまでの彼らの音楽が気に入っていた人であれば安心して聴けるサウンドである。かつてPEARL JAMやSTONE TEMPLE PILOTS、RAGE AGAINST THE MACHINEやINCUBUSといった「アメリカで売れるヘヴィ・ロック・サウンド」を数多く生み出してきた大御所、ブレンダン・オブライエンによるプロデュースの成果か、従来に比べ楽曲の方向性に幅が出てきた上、ハワード・ジョーンズ(Vo)の高い歌唱力を生かしたノーマル歌唱パートが前作以上に増量されている。歌詞も含めてよりエモーショナルになった作風を「激しさが足りない」と感じるキッズもいるかもしれないが、私がもし10代だったらかなり沁みたと思うな。

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AS DAYLIGHT DIES
84
アズ・デイライト・ダイズ (2006)

LOUD PARK 06で目撃した彼らのライヴの印象は、私にとっては結構意外なものだった。ハードコア出身らしいコワモテでストイックなステージをイメージしていたのだが、高い演奏力に裏付けられた予想以上にメタリックでエンターテインメント性のあるステージは、私のようなオールド・ファッションなメタラーにも充分アピールするものだった。そしてそのLP06の翌月に発売された、アダム(G)がプロデュースだけでなくミックスも手掛けた本作は、前作を順当に受け継ぐ安定感のある一枚。前作は曲によってメタル度とハードコア度のバラつきが感じられたが、本作では彼ら独自の「KsE流メタル」(本作発表と同時期にDIOの「Holy Diver」のカヴァーを発表したことを、私は勝手に彼らの「メタル宣言」と解釈している)が完成した感がある。個々の楽曲を見ると、飛び抜けた「キメ曲」は存在しないような気がするが、特にメロディ面で見たときの平均点はさらに向上しており、私のようなハードコアを苦手とするリスナーにとってはさらに聴きやすくなったと言える(一方でハードコアが好きな人にとっては前作以上に「ヌルくなった」と感じられるかもしれない)。曲調の幅が狭く、また近年のこの手のバンドが急増しているので新鮮味に欠ける印象もあるが、#9、#11など後半のメタル度の高い佳曲の存在もあって聴後感の良い、完成度の高いアルバム。日本盤ボーナス#12「Be One」も本編に劣らぬ秀曲。

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THE END OF HEARTACHE
85
ジ・エンド・オヴ・ハートエイク (2004)

前作によって「メタリック・ハードコア」=「メタルコア」というサウンドを世に知らしめたKsEのサード・アルバム。前作発表後、VoとDrが脱退し、元BLOOD HAS BEEN SHEDのハワード・ジョーンズ(Vo)と、ジャスティン・フォーリー(Dr)が加入するという結構大きなメンバーチェンジが発生している。前作同様アンディ・スニープをミックスに迎えて制作された音楽の基本線は北欧のメロデスを思わせる、彼ら自身が確立した所の「メタルコア」サウンドを継承しているが、よりリズムやアレンジが凝ったものになり、メタル的な構築感が高まった印象。前任者より太く安定感を感じさせる歌唱力を持ったハワードの加入が、サビのコーラス・パートにおけるメロディアスな印象をより強化しており、前作でもなんとなく感じていたSOILWORKの「NATURAL BORN CHAOS」で提示した方法論との共通点がより浮き彫りになっている。彼らの活躍や、メンバーの出身母体を同一にするSHADOWS FALLの成功によってフォロワーも急激に増え、プレスが勝手に「MAメタル」(MA=マサチューセッツ)などと呼ぶシーンさえ形成されつつほどの「メタルコア」の盛り上がりを受け、#3「When Darkness Falls」が映画「フレディVSジェイソン」で、#7のタイトル曲が映画「バイオハザード2」で使用されたこともあり、アメリカで25万枚を売り上げ、ビルボードで21位まで上昇するヒットを記録した。

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ALIVE OR JUST BREATHING
82
アライヴ・オア・ジャスト・ブリージング (2002)

90年代からメタリックな感触の強いハードコアが盛んだったマサチューセッツ州のハードコア・バンドの代表格だったOVERCASTのマイク・ダントニオ(B)と、AFTERSHOCKのアダム・デュトキエビッチ(G)、ジョエル・ストローゼル(G)を中心に結成。ジェシー・リーチをヴォーカルに迎えて99年頃から本格的な活動を開始し、00年にセルフ・タイトルのデビュー・アルバムを発表。本作は「ROADRUNNER」と契約し、MACHINE HEADやARCH ENEMYを手掛けたアンディ・スニープをミックスに迎えて放つセカンド・アルバム。アンディ・スニープらしく重く、鋭く引き締まったそのサウンドにはハードコア・パンク的なラフさは希薄で、サウンドは前作以上にメタリック。楽曲の短さや、作り込まれ過ぎていないリフ・ワーク、そして激情迸るジェシーのシャウトなどにハードコアの出自は垣間見えるものの、パッと聴きの印象はメタル以外の何者でもない。デス声寸前の激しいスクリームと、マイナー調のコード進行を持つヘヴィ・サウンドのコンビネーションは極めて北欧のメロデス的で、実際メンバーはAT THE GATESやIN FLAMESなどその手のバンドからも影響を受けているようだ。「メタリック・ハードコア」=「メタルコア」サウンドを確立したエポック・メイキングなアルバムだが、「メロデス」として聴くとちょっと楽曲があっさりして聴こえるかな。本作収録の#8、#10、日本盤ボーナスの#13は前作収録曲の再録。

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