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TREAT
COUP DE GRACE
85
クーデ・グラー〜最後の一撃 (2010)

「ORGANIZED CRIME」発表後、ポップなハード・ロックの人気が下火になってきたこともあり、バンドはVoを元SWEDISH EROTICAのマッツ・レヴィンに代えて、音楽性もよりラフなハード・ロックにシフトチェンジしたセルフ・タイトル作を92年に発表。そのツアー後解散していた彼らだが、2006年に再結成、新曲入りのベスト・アルバムを発表し、その新曲が秀逸だったことで期待されていた復活アルバム。メンバーはほぼ「ORGANIZED CRIME」の頃のメンバーだが、ベースのみLAST AUTUMN'S DREAMのナリー・ポールソンがプレイしている。音楽的な中心人物だったアンダース・ヴィクストロム(G)はTREAT解散後も職業ソングライターとして幅広く活躍(なんと日本のアイドル・グループ「嵐」の楽曲を手掛けたこともある!)していただけあって、往年のメロディアスな印象をキープしつつも、適度にモダンな要素も導入したクオリティの高い楽曲を揃えている。かつてに比べるとKeyのフィーチュア度が低いのが個人的にはちょっと残念だが、これだけフックの効いたスケール感のある楽曲を揃えられるととても文句をつける気にはなれない。解散前は甘い声質で非常に好みながら、うわずり気味の歌唱がちょっと気になっていたロバート・アーンルンドのヴォーカルに安定感が増していることもポイント高い。「最後の一撃」にしてしまうには勿体ないメロディアス・ハードの秀作だ。


TREAT
ORGANIZED CRIME
88
オーガナイズド・クライム (1989)

1曲目はタイトルからしてそんな感じだがモロに後期WHITESNAKEを思わせるブルージーなハード・ロック、2曲目もタイトル通りのパーティ・ロック、3曲目はBON JOVI風(?)なイントロを持つアメリカンな曲で、初めて聴いたときにはオイオイ、アメリカ狙いもたいがいにせえよ、と思ってしまった4作目。HR/HMバブルがまさに爛熟期だった89年という時代ならではの迷走かと思われたが、4曲目のバラード「Stay Away」が、これまで比較的甘口で明るいバラードが多かった彼らには珍しい哀愁のある北欧らしい曲で、その後は期待通りの北欧メロディアス・ハード・ポップで締められている。前作に比べて骨太になったサウンド・プロダクションが楽曲の良さをストレートに引き出しており、楽曲からメジャー・バンドに引けを取らないだけの「力」を感じる。どの曲も印象的なコーラスを備えており、違和感を覚えた冒頭の3曲も、あらためて聴いてみれば出来は悪くない。1st収録の名曲#8「Get You On The Run」もより劇的にリメイクされているが、他の曲もそれに負けないクオリティなのが頼もしい。前年に同じレコード会社だったTNTの「INTUITION」が日本で大ヒットしたこともあり、同じ北欧のバンドという期待感で来日公演も行なわれたが、ちょっと会場が大きすぎてガラガラだったとか…。クラブ的な施設がなかった時代ならではのお話ですね。

TREAT
DREAMHUNTER
86
ドリームハンター (1987)

前作からまたもやDrが交替し、ジェイミー・ボーガーを新たなメンバーに迎えてリリースされた本作は、前作からさらに洗練されたメロディアスなハード・ロックを聴かせる秀作。前作と違って1曲目が北欧ならではの魅力に満ちた曲である「Sole Survivor」なのも印象いいが、本作のハイライトはやはりスピーディーな#6「Outlaw」、PVも制作されたリーダー・トラックの#7「World Of Promises」、そしてイントロのKeyフレーズが印象的な#8「One Way To Glory」の流れで、この3曲だけで充分CD1枚分の元は取れました。特に「World Of Promises」は、後年IN FLAMESがカヴァーしたことでも話題になったが、個人的に「北欧メタルを代表する名曲10選」に欠かせないほどの名曲だと思う。アルバム全編に渡って胸がキュンキュンしちゃうようなKeyプレイが満載で、アンダース・ヴィクストロムのマイケル・シェンカーの線を細くしたような泣きのギターもたまらない、これぞ北欧メロディアス・ハード・ポップの教科書というべき一枚。


TREAT
THE PREASURE PRINCIPLE
83
ザ・プレジャー・プリンシプル (1986)

本国スウェーデンではかなりの話題となり、好調なセールスを記録した前作に伴うツアーの後、マッツ"ダルトン"ダールベリ(Dr)が脱退、メンバー・チェンジを経て制作されたセカンド・アルバム。結論から言うと本作はセールスやチャート成績においては前作に及ばず、本人たちも「良い曲が揃わなかった」と再結成後のインタビューで語っていた。しかし、個人的にはあながちそんなこともなく、楽曲のクオリティに関して言えば、垢抜けなさが感じられた前作に比べて格段に洗練されていると感じる。1曲目、能天気なまでに明るい「Rev It Up」から始まるため、「北欧メタル」に哀愁を求める私の印象は必ずしも良くないが、この手のアメリカンな曲は他には#3や#10くらいで、他の楽曲についてはやはり北欧らしい哀愁を帯びていて心惹かれる。前作に比べサウンドにおけるKeyの比重がグッと増したことも個人的にはポイント高い。ただ、確かにキメ曲と呼べるほどの楽曲には欠け、当時スウェーデンではEUROPEの「THE FINAL COUNTDOWN」が空前の大ヒットを記録していたこともあり、埋もれてしまったようだ。なお、#1「Rev It Up」は87年にアメリカのNEW CITY ROCKERSなるバンドにカヴァーされ、ビルボードTOP100位圏内に入る小ヒットを記録している。

TREAT
SCRATICH AND BITE
80
スクラッチ・アンド・バイト (1984)

アンダース・ヴィクストロム(G)、ロバート・アーンルンド(Vo)が在籍していたTHE BOYSというバンドを母体に、82年に結成されたハード・ロック・バンドのデビュー作。当時世界的な流行や、EUROPEの登場によってHR/HMに注目が集まっていたこともあり、いきなりメジャーのポリグラムとの契約を獲得。デビュー・シングル#5「Too Wild」がスマッシュ・ヒットを記録し、たちまちEUROPEに次ぐ注目株となり、セカンド・シングル#8「You Got Me」のリリースを挟んで発表されたデビュー・アルバム。当時メンバーはDEF LEPPARDの大ヒット・アルバム「PYROMANIA」に強く影響されていたらしく、全体的にDEF LEPPARDを素朴にして、若干R&R色を加えたような快活なハード・ポップ・サウンドに仕上がっている。当時日本ではEUROPEやイングヴェイ・マルムスティーンを擁するALCATRAZZ、PRETTY MAIDSやTNT等の登場で「北欧メタル」という日本独自の用語が誕生するなど北欧のHR/HMに注目が集まっており、このバンドも「スウェーデンの44MAGNUM」などと呼ばれて注目を集めたが、ことメジャー感という点に関してのみ言えば間違いなくEUROPEに次ぐヒット・ポテンシャルを秘めたサウンドで、本作からは日本人好みの叙情性を持った#3「Get You On The Run」、売れ線なバラードの#6「We Are The One」などがシングル・カットされ、本国でスマッシュ・ヒットを記録した。

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