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ZONATA
BURIED ALIVE
83
ベリード・アライヴ (2003)

日本での所属レコード会社がビクターから新興の「SOUNDHOLIC」に変わってリリースされたサード・アルバム。この時期ビクターではメタル・バンドの大リストラが行なわれており、KAMELOTやDARK MOORあたりでさえ切られてしまった(KAMELOTは切られたというより、ビクターがメタルに力を入れなくなったので自ら移籍を希望したようだが)のだから、彼らクラスのバンドが切られてしまうのはやむを得ないことだろう。前作に引き続きなかなか美麗なジャケットに、前作同様のサウンドを予想して聴いてみると、これがビックリ、かなりソリッドでメタリックリフが飛び込んできて驚いた。冒頭を飾る#1を聴いた際にはPRIMAL FEARあたりを想起したほどである。とはいえ2曲目以降は前作の流れを汲むKeyをフィーチュアした、クラシカルなエッセンスを活かしたメロディック・パワー・メタル・サウンドが展開されていて一安心。器用とは言い難いヴォーカルの資質を考えると、正統派パワー・メタルと言うべき音楽性へのシフトチェンジは必ずしも誤りではない…と思いつつやはり彼ら独特のメロディ・センスは他に代え難い魅力。ヘヴィさについては本作が臨界点だろう。ギター・リフを強調し、本格派メタル・バンドとしてのポテンシャルを示した充実作に仕上がっているが、残念ながら本作を最後に解散してしまった。「生きながら葬られて」というアルバム・タイトルは、彼ら自身の状況を指していたのかもしれない。

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REALITY
85
リアリティ (2001)

冒頭を飾るタイトル曲のイントロを聴いた瞬間、前作に求めていて得られなかったものが今回は提供されていることが確信できた。Keyを効果的に使ったドラマティックなアレンジ、そしてタイトなサウンド・プロダクション。これこそ、かつて「COPENHAGEN TAPES」を聴いてこのバンドに期待したファンが納得できる音像ではないだろうか。前作に比べてKeyは、この手の「Keyをフィーチュアしたパワー・メタル」のお手本となるバランス感だし、前作ではほぼリード・ギターのフレージングに頼り切りだったクラシカルなエッセンスが、歌メロやKeyのアレンジなど、随所に発現している。特に歌メロが、かなり不器用なVoであるにもかかわらず(とはいえ前作に比べて格段に進歩している)、その不器用な持ち味を活かして印象的なフックラインを形成しているのがポイント高い。ベタにならない高度なクラシック音楽の素養を感じさせる数々のフックが、当時雨後の筍のごとく出現していたメロディック・パワー・メタル・バンド群の中でも、このバンドならではの個性と魅力を確かに主張している。彼らがいかに成長したかは、「COPENHAGEN TAPES」に収録されていた名曲「Gate Of Fear」の再録#11を聴けば一目(耳?)瞭然であろう。そしてIRON MAIDENで知られる巨匠ディレク・リッグスが手掛けたこのアートワーク、かつてビクター・エンタテインメントから日本盤がリリースされたメタル・アルバムの中でも屈指の美麗さなのではないだろうか。

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TUNES OF STEEL
79
チューンズ・オブ・スティール (1999)

98年に発表したデモ「COPENHAGEN TAPES」が好評を博し、バンド結成からわずか1年ほどで大手メタル・インディー『CENTURY MEDIA』との契約を獲得。STRATOVARIUSやHEAVENS GATEの前座としてのギグを含むスウェーデン国内ツアーを経て発表したデビュー・アルバム。元HOLY MOSESのギタリストとして知られるアンディ・クラッセンのプロデュースの下、ドイツはブーネの「Stage One」スタジオで録音されている。しかし、スラッシュ畑出身の人間のプロデュースが悪かったのか、本作のサウンドはこのバンドに全くそぐわない荒削りなものになっている。私を含め、多くの人が前作デモを聴いて、「このバンド、アレンジとサウンドを改善すれば化けるな」と思っていたのだが、その点が全く改善されず、むしろ無理にパワー・メタルとしての攻撃性を強調するようなアレンジ/サウンドになっているのが残念。この時期の欧州は「パワー・メタル・ブーム」が巻き起こっていたため、恐らくレコード会社がそれを要求し、彼ら自身がまだ20歳そこそこと若かったゆえにそれを拒絶できなかったのだろう。#1、#2、#6、#7、#8、#10といったスピード・チューンにも(特にインスト・パートにおいて)クラシカルなエッセンスは充分に盛り込まれているし、フォーキーなメロディが印象的な#3、バラードの#4、8分近いドラマティックな#5、バンド名を冠したクラシカルなインスト#9など、彼らの確かな音楽的才能を示す楽曲が揃っているだけにこのサウンド・プロダクションが惜しまれてならない。そしてこのアートワーク、かつてビクター・エンタテインメントから日本盤がリリースされたメタル・アルバムの中でも屈指の酷さなのではないだろうか。

ZONATA
COPENHAGEN TAPES
-
輸入盤のみ (1998)

当サイトでは基本的に「レア盤」みたいなものは取り扱わないようにしているが、限定リリースされたデモ盤である本作については例外的にレビューの対象とする。というのも、本作を聴かずに、この次のリリース作となるデビュー・アルバムを聴くと、いささかこのバンドの本質を勘違いしてしまうからだ。このZONATAはスウェーデンのボロースで98年2月にヨハネス(Vo, Key)とジョン(G)のナイバーグ兄弟を中心に結成。メンバー全員がクラシックの音楽教育を受けていたということで、ごく初期からオリジナルのマテリアルに取り組み、同98年の8月には本作の制作に着手している。マネージャーのコーディネートでなぜか母国スウェーデンではなくデンマークのコペンハーゲンの「SDC / Dan Disc」スタジオにてレコーディングされた5曲入り(1曲目と5曲目はそれぞれイントロ/アウトロの役割を果たす短いピアノ曲なので実質3曲)の本作は、IRON MAIDENの伝説のデビュー音源「THE SOUNDHOUSE TAPES」にあやかって「COPENHAGEN TAPES」と名付けられ、限定500枚でプレスされた。本デモが欧州各地のHR/HM専門誌、ことにドイツの『ROCK HARD』誌で高く評価され、一躍マニアに知られることに。ここ日本でも当時普及を始めていたネットを通じて話題となり、輸入盤店で好セールスを記録した。クレジットにHAMMERFALLとSTRATOVARIUSからの影響が記載されている通り、スタイルとしてはメロディック・パワー・メタルで、メンバーの素養に根差したクラシカルなメロディ・センスが光っている。デモだけにサウンド・プロダクションは粗く、正直ヴォーカルはイマイチだが、聴く人が聴けばすぐにわかる確かな曲作りのセンスはジャケットの写真に写るアマチュア然としたメンバーから創造されたとは信じられないものである。


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